シャルロット
みなさん、ごきげんよう。
わたくしが生徒会長の、
シャルロット・フェリエです。

キャトラ
ソレ、もういいから。

シャルロット
ですよねぇー。
さすがにもうネタ割れてるし。

アイリス
そのコート、カッコいいですね！

シャルロット
ふふん、いいでしょ、コレ。
いかにも生徒会長ってかんじで。

キャトラ
アンタ絶対、学校とか勉強とか
キライなタイプだと思ってたのに、
なに企んでるわけ？

シャルロット
ひどい言われようだし・・・
まあ、間違ってないけど。

シャルロット
ほら、あの学校ってさ、
いろんな国とか団体が
出資してるじゃん？

キャトラ
らしいわね。

シャルロット
あそこって名目上、
優秀な冒険家が
集まるエリート校なんだよね。

キャトラ
んー、どっかで
そんな話を聞いたような・・・

シャルロット
だから、あの学校を
卒業すれば、
簡単にエリートの箔がつくわけ。

シャルロット
やっぱ経歴って大切じゃん？
口先の営業で仕事がくるほど
世の中、甘くないし。

キャトラ
相変わらず打算的だこと・・・

アイリス
それで生徒会長も
引き受けたんですか？

シャルロット
内申点かせぎたいしね。
ダルイけどしゃーない。

シャルロット
あーまったく・・・
マジほんと疲れるわー。
学校いきたくねーわー。

キャトラ
とーか言ってる割に、
最近、楽しそうじゃん。

シャルロット
う・・・！

キャトラ
図書室でカスミたちと
なんか盛り上がってたし。

シャルロット
ぐぬぬ・・・！

アイリス
学園祭も、みんなと一緒に
がんばってましたよね。

シャルロット
ああああれは仕方なくっていうか、
流れでやったっていうか・・・

キャトラ
にやにやにやにや。

シャルロット
な、なにニヤついてんだトラァ！

アイリス
まぁまぁ・・・

シャルロット
あ、あたしは、内申のために
学校いってるだけだし！
友達とかいらねーし！

キャトラ
あっそう。じゃあアタシたちも
友達やめるわ。バイバーイ。

シャルロット
へ！？　あ、いや・・・

キャトラ
・・・ぷぷ、冗談よ。
びっくりした？　びっくりした？

シャルロット
あアあアアーー！
ざっけんなコラァ！！

――早朝。
学生寮、シャルロットの部屋――

シャルロット
・・・・・・・ふぁぁ～・・・
いまなんじぃ・・・

時刻は、ちょうど登校時間に
差し掛かろうとしていた。

シャルロット
変な時間に起きちゃったし・・・
昨日、夕方に寝たせいか・・・

シャルロット
・・・たまには
時間通りに出ますかねー・・・

シャルロット
せっかくだし、生徒会室にも
顔出してみよっかな。

シャルロット
みんな驚くだろうなー・・・
副会長とか腰ぬかしたりして。
くふふ♪

ニヤニヤと妄想しながら、
生徒会室の前に立つシャルロット。

シャルロット
あー・・・ゴホン！

そして、扉を開け放つ――！

シャルロット
みなさん！
おはようございま――あれ？

生徒会室はもぬけの殻だった・・・

シャルロット
おっかしーなー・・・
いつもは朝の定例会で
みんないるのに・・・

エクセリア
・・・シャルロットさん？

シャルロット
ううぇ！？
・・・って、なんだエクセか。

シャルロット
ちょうどいいや。
ねぇ、あんたんとこの副会長って、
今日休みだったりするの？

エクセリア
？　はい、ゲオルグもそうですし、
みんな休みだと思いますけど・・・

シャルロット
は？　みんな？　・・・なんで？

エクセリア
・・・今日は、
学園祭の振替休みですよ？

シャルロット
・・・・・・まじで？

エクセリア
は、はい、まじです・・・

シャルロット
はぁぁ～～！？　聞いてねーし！
いや聞いてたかもだけど
忘れたし！！

シャルロット
・・・ん？
ならなんでエクセがいるわけ？

エクセリア
ラピュセルたちのお世話です♪
竜舎が学校のそばにあるので。

シャルロット
ふーん。

エクセリア
よろしければご一緒しませんか？

シャルロット
あたしと？

エクセリア
はい。・・・あ、でも
他に用事があるのなら・・・

シャルロット
いや、だいじょぶ。
ヒマだし、いくわ。

エクセリア
！　ありがとうございます、
シャルロットさん♪

・・・・・・
・・・

エクセリア
おまたせ、ラピュセル♪
今、ブラッシングして
あげるからね。

シャルロット
今さらだけどさ・・・
なんであたしを誘ったわけ？

エクセリア
その・・・お正月に
お会いしたときから、ずっと
お話したいって思ってたんです。

シャルロット
ふ、ふ～ん、そっかぁ。
あたしと話を、ねぇ・・・

エクセリア
そういえば、トリ公さんは
ご一緒じゃないんですか？

シャルロット
ああ・・・あんなん置いてきたわ。
連れてけってキェーキェー
うるさかったけどさ。

シャルロット
あいつ、『焼き鳥』って言えば、
だいたい言うこと聞くしね。ケッ！

エクセリア
ふふ、シャルロットさんも
トリ公さんも、元気そうで
よかったです。

シャルロット
へ？　あ、うん。
元気っちゃ元気だけど・・・

エクセリア
・・・私、ここに来るまで
ちゃんと友達ができるか
不安だったんです。

エクセリア
でも、こうしてみなさんと
仲良くなることができて・・・

エクセリア
シャルロットさんとも
お友達になれて、
私、本当にうれしいです♪

シャルロット
・・・・・・・

シャルロット
あ・・・あ・・・あああ・・・！

エクセリア
あ？

シャルロット
あ、あたしも・・・エクセと友達に
なれて、うれ、しい・・・かも？

エクセリア
！　はい！　シャルロットさん、
今後ともよろしくお願いしますね♪

シャルロット
お、おおおうともよ！

シャルロット
おがねがじでぇ～～！

キャトラ
たーー！

シャルロット
あいだっ！
いきなりハタくことないでしょ！

アイリス
とにかくまずは
事情を聞かせてくれませんか？

シャルロット
いやさ、学園祭やらなんやらで
最近ずっと忙しかったじゃん？

シャルロット
だから本業するヒマがなくて、
気がついたらサイフが
すっからかんに・・・

キャトラ
働けッ！
なんでもいいからやりなさい！
アタシらもついていってあげるから！

シャルロット
あーい、お世話になりまーす。

キャトラ
・・・もっかいハタくわよ。

・・・・・・
・・・

シャルロットたちは、
人里を襲う悪鬼の討伐に赴き、
ついに洞窟奥へと追い詰める。

シャルロット
ケッ、手こずらせやがって・・・！
抵抗なんざ無意味だっつの。
つーわけで――

シャルロット＆シズク
覚悟しろ！

シャルロット＆シズク
え？

アイリス
シズクさん！　イサミさん！

イサミ
これは皆様・・・
このような場所で
お会いするとは。

シズク
シャルロット様。
悪しき鬼の誅滅は一族の責務。
ここは私が討ち取ります。

シャルロット
ちょちょちょい待ち！
コイツはあたしの獲物だっつの！

シズク
報酬でしたら差し上げます。

シャルロット
先生、やっちゃってください。

キャトラ
アンタねぇ・・・

イサミ
逃しはせん！

シズク
露と――消え去れ！

キャトラ
さすが鬼退治のプロね。
あっという間だったわ。

シズク
恐縮です、キャトラ様。

シャルロット
あー、疲れたわー。これで少しは
サイフの足しになるわー。

シズク
シャルロット様は
金銭にお困りなのですか？

シャルロット
そゆこと。
あ～あ、誰か親切な人が
お金借してくれたりしないかなぁ。

シズク
本当にお困りでしたら、
私がご用立ていたしますが。

シャルロット
ほんと！？　やりぃ～！
いやぁ～、言ってみるもんだねぇ！

シズク
では、帰ったら血判所を
作りますので、血の押印を
お願いいたします。

シャルロット
え、血で・・・？
まあ、うん、わかった。

シズク
それと、地獄の沙汰も金次第と
言いまして、私の一族は、
こと金銭に関して非常に厳格です。

シャルロット
へ、へぇ～、そうなんだぁ・・・

シズク
もし期日までに
返済できないと・・・

シャルロット
で、できないと・・・？

シズク
――腕一本。

シャルロット
え。

シズク
さらに最悪、踏み倒そうと
なされた場合には・・・

シズクは、
刀にそっと手をそえた・・・

シャルロット
――っ！！！　ごめんウソ！
やっぱなし！　お金いらない！！

キャトラ
・・・確認なんだけど、
今の話、ホラよね？

シズク
もちろんです。
あくまでシャルロット様のためと
思っての方便です。

キャトラ
なるほどね。
でも・・・ちょっとやり過ぎたと
言えなくもない。

シズク
反省いたします。

シャルロット
パンフレットのモデルぅ~？

バイパー
学長からの依頼だ。
お前を表紙にしたいそうだ。

シャルロット
まぁ別にいいけど、
あたし、安くないよ？

バイパー
新巻鮭1本でどうだ、
と聞いている。

シャルロット
アホかいらんわ！
霜降り牛よこせっつっとけ！

バイパー
了解した。伝えておこう。

・・・・・・
・・・

バイパー
・・・笑え。

バイパー
・・・よし。
お前たち、もういいぞ。

シャルロット
おつかれさーん。

キャトラ
おつかれさま～♪

シャルロット
表紙ってトラとのツーショット
だったんかい・・・

キャトラ
ふふふ、マスコット役として
抜擢されたのよん

バイパー
次は男子向けか。
・・・クライヴ、準備はいいか。

クライヴ
ああ、いいぞ！

クライヴ
またせたな――

シャルロット
え・・・あんたまさか・・・
＜白銀の天使＞！？

クライヴ
ん？　どうしてその名を・・・

シャルロット
マジかよ・・・メガネのせいで
ぜんぜん気づかんかったわ・・・

キャトラ
（あー、そういえばシャル、
クライヴが表紙のメンズナイツ
読んでたわね・・・）

クライヴ
はっ！　そうかお前・・・
俺のファンだったのか！

シャルロット
ちっげーよ！

シャルロット
てかさ、世界を救いたいって
言ってたヤツがさ～、
こんなとこで先公の真似事とかさ。

クライヴ
世界を救う・・・？
ああ、あのインタビューのことか。

シャルロット
そのために騎士になったんしょ？
ちょっと意識低いんじゃ
ないですかねぇ～。

クライヴ
シャルロット殿、それは誤解だ。
俺が騎士を志した真の理由は、
別にある。

シャルロット
ほほう～？　その理由とやら、
ぜひ聞かせてくれませんかねぇ。

クライヴ
姫を――守ることだ！

シャルロット
は？

クライヴ
そしてあわよくば！
お近づきになることだ！

シャルロット
女かよ！！
てか世界を救うって話は！？

クライヴ
そう言ったほうが
読者ウケがいいからな。

シャルロット
・・・・・・

キャトラ
あれ？　でもアンタ、
姫をあきらめたって
言ってなかったっけ？

クライヴ
確かにソフィ殿のことは
あきらめたさ・・・だがな！
姫は学校にもう一人いたんだ！

シャルロット
・・・おい、まさか
エクセのことじゃねーだろうな。

クライヴ
ドラゴンすら心を許す、
心優しき無垢な女性――

クライヴ
はっきり言おう。
俺は、彼女に惚れている！

シャルロット
トラ～、あたしちょっと
エクセのとこいってくるわ。

クライヴ
！　俺とエクセリア殿の
仲を取り持ってくれるのか！？

シャルロット
んなわけあるか！

クライヴ
おい、まさか・・・俺の
秘めたる想いを暴露する気か？

シャルロット
そーゆーこと。
ついでに副会長にも言っとくから。

クライヴ
待て、それは困る。
俺はまだ、この甘酸っぱい
恋心に浸っていたいんだ。

シャルロット
キメェ～～よあんた！
甘酸っぱいとかやめろし！！

クライヴ
お前も騎士なんだろう。
いずれわかるときがくるさ。

シャルロット
一生わからんはボケ！

シャルロット
・・・・・・

オウガ
おう、シャル。
オマエも来てたのかよ。

シャルロット
・・・ああ、あんたたちか。

シャルロット
・・・ねぇ、あんたさ。
学校・・・楽しい？

オウガ
はっ、楽しくなきゃ行かねぇよ。

シャルロット
・・・そ。

オウガ
一体なんだってんだ？
まーた悩んでんのか？

シャルロット
・・・なんかさ、あたしも
だんだん楽しくなってきたわ。

オウガ
ほう・・・

シャルロット
あたしさ・・・
気ぃ使いたくないんだよね。
人間関係とか。

シャルロット
でも、学校の連中は
そーゆーの関係なくてさ。

シャルロット
だから、すごい気楽だし、
あたしも素でいられるし、
あいつらと一緒にいると、その・・・

シャルロット
楽しい・・・なんて
思ったりみなかったり・・・

オウガ
それが＜同胞＞ってもんだ。
悪くないだろ？

シャルロット
うん、まあ・・・

オウガ
赤獅子に感謝するんだな。
コイツがいなきゃ、
今のオマエはなかったろうによ。

シャルロット
あー、うん。
わかってるってば。

シャルロット
えっとさ・・これでもあたし、
あんたたちには感謝してるわけよ。

シャルロット
おかげさんで
モチベもあがってきたし――

シャルロット
あたし・・・もうちょい
がんばってみるわ、あの学校で。

シャルロット
そんな驚くなし！　あたしだって
やるときゃやる女だっつの！

シャルロット
ま、そーゆーわけで・・・
あらためて、よろしく頼むわ。